晩婚晩産家のお金事情

晩婚で晩産な我がBB家のお金事情を中心に

太陽光発電の卒FIT後

 BB家の屋根には4.0kWの太陽光発電パネルがのっていて、今日も元気に発電してくれています。

最近、FIT(固定価格買取制度)の適用期間(一般家庭の場合10年)終了後についての記事を見かけるようになりました。

我が家ではまだ数年先になりますが、「卒FIT」後の活用について考えてみます。

 

 卒FITとは

再生可能エネルギー導入を促すために始まったFIT制度では、発電設備の種類によって異なる売電価格の優遇期間が定められています。

家庭用(10kW未満)の太陽光発電の場合10年間となっており、2019年末から順次、その期間の満了(「卒FIT」)を迎えます。

 

太陽光発電は制度スタート直後、FITの中でも特に優遇され、最初の年の買取価格は1キロワット時あたり48円(48円/kWh)でした(BB家はもう少し安いです)。

ところが「卒FIT」後は、電力会社の買取り義務がなくなり、値段も自由に決められるようになります。極端な話「ただなら引き取るよ」も可能です。

 

最初の「卒FIT」が近づき、買取価格を発表する会社がでてきました。

最も安い電力調達コストをベースにしつつ、再生可能エネルギーとしての付加価値を上乗せするなどして、7~10円程度の価格が提示されているようです。

 

 48円が7円になったらショックですよね。

でもまあ、買取り価格が大幅に下がるのは最初から分かっていた(むしろ、買い取ってもらえないという話もありました)ことで、驚きはありません。

 

卒FIT後の二つの選択肢

「卒FIT」を迎えた太陽光発電をどうするかですが、第一の選択肢は「どこかの会社に売る」です。

 

ところが、売電価格が7円や8円となると 「売るよりも自分の家で消費した方が得じゃない?」という話が出てきます。

これが第二の選択肢です。

 

現在の電気の購入価格は1キロワット時あたり25.98円(東京電力スタンダードプラン、121kWh~300kWhの区分)などですから、一理ありますね。

 

でも、太陽光パネルはお日さまがのぼると発電し、雲に隠れると発電量が減り、日が沈むとお休みです。

そして電気は、電線の上で保存しておくことができません。

一方、私たちは日照と関係なしに電気を使いますので、「自宅の太陽光パネルが発電した電気で消費を賄う」のは、なかなか難しいのです。

 

それを可能にするのが「蓄電池」です。

特にスマホや電気自動車(EV)等でポピュラーな「リチウムイオン蓄電池」は、その優れた性質から、家庭用の蓄電池としての活用が期待されています。

 

なのですが、「リチウムイオン蓄電池」はまだまだ高価です。

電気代の節約のために導入して、果たして本当に安くなるのでしょうか?

 

BB家での試算

下の表1は、BB家の2018年の発電と消費の記録です。

 

表1 2018年の実績

発電量[kWh] 消費量[kWh] 自消量[kWh] 買電量[kWh] 売電量[kWh]
1 406 744 86 658 320
2 379 654 74 580 305
3 458 541 86 455 372
4 463 380 87 293 376
5 471 336 85 251 386
6 394 338 90 248 304
7 510 384 113 271 397
8 485 360 109 251 376
9 289 360 88 272 201
10 344 349 71 278 273
11 318 402 63 339 255
12 292 596 70 526 222
4809 5444 1022 4422 3787

 

トータルで4809キロワット時(以下 kWhと表記)発電し、5444kWh消費しています。

消費量のうち1022kWhについては、太陽光発電したものをそのまま自分で消費(「自消量」の欄)しています。

 

さて卒FIT後,蓄電池を導入して自家消費するのと、買い取ってもらうのとどちらが得でしょうか?

 

実はこれ、私にはとても難しい計算でした。

特に我が家は、時間帯・季節によりkWh当たりの単価が変化するプラン(現在は新規契約できません)を利用しており、電気代の計算には「どれだけ」に加えて「いつ」使うかも関係してきますが、上の表では時間帯別の消費量や発電量が分かりません。

 

自家消費の場合、エコキュートの運転を昼間に持っていく方が得です。

でも、もしその日が雨で高い昼間の電気を買うことになったら大損です。

 

結局、我が家に合わせた正確な試算はあきらめ、時間帯別でない通常の契約プランで計算することにしました。

 

仮定した条件は、次のとおりです。

  • 蓄電池の容量は無限(いくらでも貯められる)
  • ただし発電量と消費量の収支は月ごとに清算
  • 売電価格は8円/kWh
  • 買電単価(kWh当たり)は19.52円(~120kWh),26円(~300kWh)、30.02円(300kWh~)
  • 基本料金、消費税、再エネ賦課金は計算に含めない
  • 蓄放電のエネルギーロスは考慮しない

 

蓄電池を導入したら

まず蓄電池を導入するケース(表2)です。

 

冬は消費量が増えるので、売電がなくなります。

一方、春から夏、秋にかけては、発電量が消費量を上回るため、売電が発生します。

 

年間の実質的な電気代は、買電額-売電額=26,421-4,200円=22,221円です。

 

表2 蓄電池導入ケース

自消量[kWh] 買電量[kWh] 売電量[kWh] 買電額[円] 売電額[円]
1 406 338 0 8163 0
2 379 275 0 6372 0
3 458 83 0 1620 0
4 380 0 83 0 664
5 336 0 135 0 1080
6 338 0 56 0 448
7 384 0 126 0 1008
8 360 0 125 0 1000
9 289 71 0 1386 0
10 344 5 0 98 0
11 318 84 0 1640 0
12 292 304 0 7142 0
4284 1160 525 26421 4200

 

 

導入しなかったら

蓄電池を導入せず、現在と同様に自家消費し切れなかった電気を全量売電するケース(表3)です。

 

年間の実質的な電気代は、買電額-売電額=109,892-30,296円=79,596円になりました。

 

表3 蓄電池非導入・売電ケース

自消量[kWh] 買電量[kWh] 売電量[kWh] 買電額[円] 売電額[円]
1 86 658 320 17770 2560
2 74 580 305 15428 2440
3 86 455 372 11676 2976
4 87 293 376 6840 3008
5 85 251 386 5748 3088
6 90 248 304 5670 2432
7 113 271 397 6268 3176
8 109 251 376 5748 3008
9 88 272 201 6294 1608
10 71 278 273 6450 2184
11 63 339 255 8193 2040
12 70 526 222 13807 1776
1022 4422 3787 109892 30296

 

結局どちらが得なの?

蓄電池を導入すると、年間の実質的な電気代が、79,596-22,221=57,365円安くなります。

 

蓄電池の導入費用を、年間57,365円のランニングコスト低下でペイできれば蓄電池が得ということになります。

 

現状では、そのまま売った方が得のような気がします。

 

上の試算では蓄電池の容量を無限と仮定しました。

現実には、5kWh~10kWhの蓄電池を導入すると、貯め切れずに売電せざるを得ないケースがでてきます。

蓄放電時のエネルギーロスも、蓄電池に不利な材料です。

 

自家消費分には再エネ賦課金や消費税がかかりませんから、その点は蓄電池に有利です。

 

トータルで考えると、卒FIT家庭の蓄電池は時期尚早かなと思いました。

 

ただし、蓄電池には災害対策の機能もあるため、多少コスト的に見合わなくても価値ありと判断する人もいると思います。

 

今後を考えると、蓄電池の低コスト化が進むことは確実です。

 

太陽光発電、蓄電池、エコキュート、さらにはEV等を連携させ、発電・消費予測にもとづいて、各家庭の電力プランのもとで最適な運転をするシステムが発売されるでしょう(もうある?)。

 

他方、電気代は基本的に上昇が続きそうです。

 

ということで、蓄電池の魅力が高まる方向に進むことは間違いないと思います。

 

もしBB家に蓄電池を導入するとしたら多分、パワーコンディショナーが壊れたタイミングになると思います。

いまのパワコンは、蓄電池との連携を考えたものもあるようなので。


これから太陽光発電を導入する場合は、自家消費を前提とした全体設計が重要になりそうですね。

 

以上、長文にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

 

なお、本記事の内容は正確性に自信がありません。その点ご容赦ください。

誤り等がありましたら、お知らせいただけると幸いです。