日本が財政破綻したら？

10万円の一律給付をはじめコロナ禍に対する家計支援、経済対策で多額の財政出動が見込まれています。

これは絶対に必要なお金で、むしろまだまだ足りないと思います。

しかし、いくら必要とはいってもこの支出を赤字国債で賄って大丈夫なの？　国債・円の暴落は起きないの？　と心配が募る一方の今日この頃です。

私はかねてから「財政破綻はあり得る」派でしたが、今や「コロナ後の破綻は不可避」というくらいに悲観的になっています。

（先の見通せない新型コロナのせいで、気が滅入っているせいでもありますね）

「人は自分が見たいものを見る」からかもしれませんが、経済破綻を心配する人が増えている気がします。

以前から財政破綻を警告してこられた藤巻健史氏の主張なども、最近発刊された著作で改めて注目されているようです。

私はこの新刊自体は未読ですが、さまざまな悲観論を読むうちに、間接的に藤巻氏の影響を受けている可能性は高そうです。

さて財政破綻とかハイパーインフレとかいっても未体験の事象であり、どうもピンときませんよね。

実際にはどんなことが起こるのでしょうか。

経済の素人である私に事件の始まりや進行のシナリオを描く能力はありませんが、暇にまかせて妄想してみました。

あくまで素人の妄想なので、経済学的に明らかな間違いがあってもごめんなさい、です。

発端は舌禍財務大臣の新たな失言かもしれません。ものすごく悪い経済統計の発表かもしません。あるいは、外国発のニュースかもしれず、通常ならだれも気にしないような、ささいなきっかけかもしれません。

ともかくある日、大量発行される国債の償還に疑問を持った保有者（もちろん日銀を除く、です）が一斉に売りに走ります。

国債の価格は急落しますが、日銀がすべて買い取ります。しかし、それによって今度は日銀の信用が失われ、為替市場で円が全通貨に対して急落します。

資産が無価値になることを恐れた個人や組織はこぞって国債を売り、外貨を買おうとします。その行動が一層の国債・円の暴落を呼びます。

逆に為替市場における円暴落からスタートするかもしれませんが、結果はあまり変わらず、銀行預金や国債（個人向け国債も）は壊滅的な被害を受けます。

資産が大幅に棄損することで株価も大きな影響を受けます。株やREITは、さらに経済の混乱・低迷によっても下落するでしょう。

ただし株やREITには「円」以外の資産（外貨や不動産、製造設備や技術等）の価値も含まれるため、額面上は上昇する可能性もあります。

手持ちの円貨をまともにドルに替えられないなら、せめて株を買っておこうと考えるのは自然な流れなので。

さて、日本銀行券がこども銀行券化したまま放っておくと、大根とトイレットペーパーを交換する物々交換経済か、一時期のジンバブエのようにドル（たとえば）を通貨として使う社会になってしまいます。

混乱の最悪期に経済がどう回るのかは見当もつきませんが、一定期間後に新円（日本には前科があるので正確には新・新円ですね）への切り替えが行われるでしょう。

この新円が通貨として国内外から信認されるには、なんらかの裏付け資産が必要です。

国立競技場やF35や布マスクの不良在庫は、たぶん担保になりませんよね。

ふつうだとここでIMFの登場です。

しかし日本は、世界最大の対外資産を持つ純債権国です。IMFに頼らずとも対外資産を裏付けに新円を発行すれば、そのお金は世間の信用を得ることができるのではないでしょうか。

日本が純債権国であることは非常に重要なポイントな気がします。

もし最初に円が為替市場で売り浴びせられたとき、政府が通貨防衛を放棄すれば、外貨準備は温存されます。

その後の新円切り替え時にも、国民の外貨ベース資産を強制的に円に交換させる（ついでに財産税を課す？）ことで、裏付けのある新円を国内に流通させることができます。

かくして対GDP比200%超の政府債務は大半が解消され、日本経済は新たなスタートを切ることができました。

おしまい。

というシナリオは、要するに政府による借金踏み倒しですね。

その過程で庶民は虎の子の貯金を失い、失業し、今日のお米に困る生活を経験します。

さらに一応再スタートした新生日本は従来より貧しくなり、将来にわたって賃金も年金支給も切り下げられます。

ですが、日本経済にはこの強制リセットくらいしか、再生の道がないのではないかと思います。

私個人としては、もしどこかの時点で資産を吸い上げられるとしても、最悪期の痛みを軽減するために、外貨資産などを増やすのが最善と考えています。

海外移住とか資産フライトとか、到底できませんので。