「反日」に驚いた日曜日
昨日の朝、こどもが起きてくるまでの時間、テレビをつけました。
いやあ、びっくりしました。
日曜日の朝、ひと家事終えて妻と二人でくつろぐお茶の間に、「反日」などという低劣なことばが堂々と届けられようとは。
1、2分がまんしたものの、気持ち悪さに耐えられず、チャンネルを変えました。
上の子が生まれたのを機に意識してテレビを見なくなりました。
今ではこども向けアニメを除くと、1日の視聴時間は10分くらいでしょうか。
「反日」が芸能ネタと同じようなレベルで扱われる番組は、私にとって大きなインパクトがありました。
こんな「鬼畜米英」レベルの扇動的なことばも、毎日聞かされていたら徐々に慣れてしまうのでしょうか。
とても恐ろしく思います。
折しも、昨日9月1日は関東大震災の日。
甚大な被害をもたらした自然災害であると同時に、震災後の混乱の中、市井の人びと(もしかしたらそれは、私の曾祖父母だったかもしれない)が恐れと憎悪に駆られて朝鮮人を虐殺した事件の始まりの日でもあります。
仮に今、首都直下型地震に襲われたとして。
いくらなんでも、外国人を襲撃し始めるなんてことはないと思いたい。
でも関東大震災に限らず、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ内戦における民族浄化、ルワンダのジェノサイド、近くはミャンマーにおけるロヒンギャ虐殺と、世界各地で続く事件を見るに、不信、嫌悪、軽蔑というベースがあるとき、非常時に私たちがどんな行動に出るかについては、あまり信用できません。
マスメディアが率先して他国や他民族に対する憎悪を煽るかのような状況を、とても心配しています。
さて昨今の日韓問題は、経済的な事件でもありますが、端的に言って、「そんなことしている場合じゃなかろう」と思います。
ただでさえ先行き不透明な世界経済です。
すでに十分弱っている日本が、さらに自ら招いて問題を抱え込むのは得策と思えません。
実際、韓国と取引のある企業、韓国からの訪日客でにぎわっていた観光地の方々にとっては、とんでもない災難ですよね。
「韓国向け輸出管理強化」を7割近くが支持しているという日経新聞の記事がありましたが、実利的な面からも世の中全体が冷静になることを願います。
ちょっとおまけ。
「赤毛のアン」シリーズに「アンの娘リラ」という小説があります。
アンの末娘であるリラが、第一次世界大戦の時代を生きる中で、少々欠点の目につく少女から聡明な女性に成長していくお話で、アンのファンなら読んだ方も多いと思います。
作者のモンゴメリはきっと人間愛にあふれたすばらしい人物だったろうと思うのですが、第一次世界大戦の描き方は無批判に「愛国」一色です。
「アンの娘リラ」において対ドイツの戦争は完全に正義であり、その正義の戦争にカナダから志願して従軍することは勇敢で気高い義務的行動なのです。
「愛国心」がからむと、私たちの判断力は相当に歪められるようです。
気をつけなくてはと思います。
文学や芸術の力もこわいですね。
英独どちらの関係者でない私さえ、この小説を読んでいる間は、なんとなく「カイザー憎し」の気持ちを登場人物たちと共有してしまいます。
というわけで、こんなときこそ冷静に。そして客観的に。
自らへの戒めです。