「ふるさと納税」しません
本記事では「ふるさと納税」制度に批判的なことを書きます。
この批判は決して、同制度を利用されている方に向けたものではありませんが、あらかじめお断りと、(もし不快に感じられた方がいらっしゃいましたら)お詫びを申し上げます。
お金関係のブログを読まれる方なら,多くは「ふるさと納税」をご存知かと思います。
むしろ私は、みなさまに制度の中身について語るほどの知識を持ち合わせておりません。
ふるさと納税は、総務省のサイトによれば「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」という問題提起から始まって作られた制度だそうです。
変その1 理念
スタートから、なんだか変な感じです。
住民税って「各地方の行政サービスを、そこに住む住民が負担しあって支えましょう」という税金じゃないのかな?
故郷への恩返しは大いに結構ですが、それは「寄付」でなされるべきであって「納税先の選択」になったら変じゃないでしょうか。
実際、ふるさと納税は制度としては「寄付控除」の特例らしいですが、圧倒的な控除によって、実質的に納税先の選択として機能しています。
変その2 返礼品の逆進性
次に、ふるさと納税の最大の問題、「返礼品」です。
今年に入って返礼品の上限規制を強化しているようですね。
なぜ最初から、また問題が起こった後でも「2000円相当以内」と制限しなかったのでしょうか。
それなら利用者にとっては経済的なメリットがほとんどないので(住民税額を減らすことによるメリットは残る?)、当初の理念が美しく実現した(私は理念自体にも疑問を持っていますが)でしょう。
現状のふるさと納税は、住民税の納税額が大きいほど多くの恩恵を受けることが可能です。
一方、住民税非課税世帯は、1円だって利用できません。
完全な逆進課税です。
目先の損得は脇において、「金持ち優遇の逆進税はいや!」と反対したいです。
変その3 みなが利用したら破綻するマイナスサムゲーム
ふるさと納税による流出額が大きい自治体は、税収の減少に悩んでいるといいます。
日本中の人びとがこぞってふるさと納税を利用すると、自治体の税収はトータルで激減して破綻しますよね。
制度を利用しない納税者に支えられている税制って、筋が悪すぎます。
そして返礼品競争に支えられたふるさと納税は、自治体間の「マイナスサムゲーム」です。
各自治体がいくらがんばっても、全体では増える分より減る分の税額が大きいわけですから、全国自治体、そこに住む住民はトータルで幸せになれません。
考えるほどに、変な制度です。
まあ、こんなことは私がはじめて気づいたわけでもなく、すでに多くの方々が指摘している問題ですね。
倫理に反しない限り、欠陥制度であれ何であれ有効に活用するのは、まったく非難されるいわれのない行動と思います。
その意味で、ふるさと納税を楽しんでいる方を批判する意図はまったくないのです。
でもやはり、ふるさと納税を利用するのを潔しとしない自分がいて、私としては今後も利用しないですし、できれば同じように考えてくださる人が増えたらいいなと思って書きました(いえ、むしろ全納税者が「ふるさと納税攻撃」をかければ、制度は破綻して終了するのでしょうか?)。
あまり愉快でない記事に最後までお付き合いくださいまして,ありがとうございました。
P.S.
ふるさと納税はともかく、税金を減らすのは大好きです。
住宅ローン減税もありがたく活用しています。
これだって、高い家を買える人ほど、たくさん税金を納められる人ほど恩恵を受ける減税制度ですよね。
矛盾に満ちた私ですが、どうぞお許しください。