360万円と360円とロビンソン・クルーソー
「老後のお金を考えるとき360万円を単位にするとよい」と、経済評論家の山崎元氏が書かれているのを読んだことがあります。
95歳まで生きると想定すると65歳から数えて30年間=360か月なので、1万円/月がトータル360万円に相当するというお話です。
投資のリスクに対する感覚という文脈で語られていたと記憶します。
運用で360万円資産を増やせれば老後に使えるお金が毎月1万円増え、逆に360万円損したら毎月1万円少ないお金で暮らさなくてはならないというわけです。
なるほど、と思いました。特に損失側の目安として分かりやすいです。
老後資金のための資産運用は、失っても致命傷にならない範囲で行うべきですが、投資に回せる金額の見積もりを、何百万円や何千万円という大きなお金ではなく「毎月の生活費」という、分かりやすい尺度で考えられるのがいいですね。
と大いに参考になった360万円なのですが、同時に、根がけちんぼな私は360万円から360円に1万分の1スケールダウンして考えました。
360円といえば、ちょっとした時間つぶしにコーヒーを飲むとか、仕事帰りにコンビニスイーツを買うとか、出先でビニール傘を買うとか、すぐ近くだけどタクシーに乗るとかといった、日常的な支出の金額です。
そんな小さなお金が、毎月1円とはいえ、観測可能なレベルで老後生活に影響してくるものかと感心しました。
そして根がけちんぼな私は「360円の無駄遣いを週に2回ずつ減らせば年間では100回だから、老後資金の増加は100円/月。これを 10年間こつこつ続ければ1000円/月にもなるぞ。すげー」と思ったしだいです。
根がけちんぼな私(しつこい)は、元来ちまちました節約が苦にならない方ですが、360円を意識することで、さらに楽しく節約できるようになりました。
節約が苦手な方は、将来の1円/月を思って今日の360円をがまんしてみてはいかがでしょうか。
とはいえ、過度の節約は生活の潤いを奪います。
もともと節約好きの方は、やりすぎにご注意を。
おまけ
こどものころ、「ロビンソン・クルーソー」は繰り返し読む本の一冊でした。
フライデーの救出劇や反乱者から船を取り戻す最後の戦いも、もちろんおもしろいですが、穀物袋のこぼれ種を増やして麦や米の畑を広げ、将来弾薬が尽きても困らないようにとヤギを家畜化して数を増やし、洞穴を少しずつ拡張して快適な住まいにするという、こつこつ感が大好きでした。
老後に備えて360円を節約するのは、なんとなくロビンソン・クルーソー的なこつこつ感がある気がします。